プロバイダーとは?
よく聞かれる「プロバイダー」とは何か、また、回線事業者との違いや、プロバイダーが果たす役割について疑問を抱いている方もいるかもしれません。今回は、プロバイダーの役割や乗り換える際のポイントなどを分かりやすく紹介します。
回線事業者との違い
プロバイダーと「回線事業者」との違いは、次のようになります。回線事業者は、インターネットに接続するための物理的な回線を提供する事業者です。これらの回線は、例えば携帯電話基地局などによって提供されるもので、物理的な設備工事が必要です。一方、プロバイダーは、提供された回線を利用して、実際にインターネットに接続するためのサービスを提供します。プロバイダーと契約することで、回線を通じてインターネットを利用できるようになります。
回線事業者と契約したら、プロバイダーとの契約は不要ですか?
回線事業者とプロバイダー、両方と契約が必要な理由は、それぞれが異なる役割を担っているからです。回線事業者はインターネットの「道路」を提供し、プロバイダーはその道路を使って様々な「サービス」を提供します。一部、両方を提供する場合もありますが、通常はそれぞれと契約する必要があります。この関係は、鉄道会社と遊園地運営事業に例えると理解しやすいでしょう。
プロバイダーの役割
プロバイダーの役割は、次のようなサービスを提供しています。
IPアドレスの割り当て
プロバイダーの主な役割の一つは、IPアドレスの割り当てです。IPアドレスはインターネット上での通信における「住所」であり、インターネットを利用するためにはIPアドレスが必要です。そのため、プロバイダーがIPアドレスを提供することは非常に重要な役割です。
メールサービスの提供
プロバイダーと契約すると、AAA@BBB.BB.BBのような「プロバイダーメール」と呼ばれるメールアドレスを利用できます。AAAの部分は通常ユーザーが自由に選べ、BBB.BB.BBはプロバイダーが指定した会社名などが入ります。しかし、プロバイダーとの契約が終了すると、一部のサービスを除いてプロバイダーメールは使用できなくなり、新しいメールアドレスを取得したり、アドレスを変更する際には追加料金がかかることがあります。注意が必要です。
セキュリティ対策の提供
プロバイダーにはセキュリティ対策も大切な役割があります。例えば、プロバイダーメールでは、通常、迷惑メールのフィルタリングやウィルススキャンなどのセキュリティ対策が行われています。また、一部のプロバイダーは、Webブラウジング中にウィルス感染を防ぐ保護機能を提供しています。
特に機密情報を扱う場合には、高度なセキュリティ対策を提供するプロバイダーを選ぶことが重要です。
プロバイダーの選び方
通信速度で選ぶ
通信速度は回線の種類によって異なりますが、同じ回線を使っていてもプロバイダーによって速度が変わることがあります。混雑時に速度が低下することを防ぐために、速度だけでなく安定性も考慮してプロバイダーを選ぶことが大切です。
また、既に回線事業者と契約している場合や、特定の通信回線を好んで使っている場合には、それに対応するプロバイダーを選ぶのが良いでしょう。
料金で選ぶ
プロバイダーを選ぶ際、利用料金は非常に重要です。月額料金だけでなく、初期費用や付加サービスの費用、通信機器のレンタル料金なども確認しましょう。複数のプロバイダーを比較して、自分に合った選択肢を見つけましょう。
その他サービスの充実度で選ぶ
プロバイダーは、無線ルーターの無料レンタルやキャッシュバックなどの特典を提供することもあります。また、IPv6(IPoE)への対応状況やサポート体制の充実度など、他のサービスの品質も考慮して、プロバイダーを選ぶ方法です。
プロバイダーを申し込む際の流れ
回線事業者を選ぶ
最初に回線事業者を選ぶことから始めます。回線事業者はサービス提供エリアを指定しており、利用する地域に対応する事業者を選ぶことが重要です。
契約するプロバイダーを選ぶ
回線の選定が決まったら、次にプロバイダーを選びます。自分の要件に合ったプロバイダーを選ぶために、前述の選定方法を参考にしましょう。また、NTT東日本やNTT西日本から提供される「フレッツ光」回線を借り受ける光コラボ事業者のように、回線接続と回線事業の両方を提供する事業者も存在します。既に回線事業者と契約している場合は、注意が必要です。
契約したら工事を行う
回線事業者とプロバイダーを選んだら、それぞれと契約手続きを行います。一般的に、インターネットの利用を開始するには、回線の設置など回線事業者による工事が必要です。したがって、契約時に工事の予定日を決めることが必要です。工事には通常、利用者が立ち合う必要がありますので、自分の都合に合った日程を選びましょう。ただし、既存の設備があるマンションやプロバイダーの乗り換えの場合、工事が不要な場合もあることに注意しましょう。
レンタルした機器や使用するデバイスの設定を行う
通常、インターネット接続に必要な機器(ONU、ホームゲートウェイ、ルーターなど)は回線事業者から送られてきます。最初にこれらの機器を受け取り、同梱された説明書に従って接続します。機器を接続したら、PCを使ってユーザーIDやパスワードの設定、接続方法の選択などを行います。最後に、利用するデバイスで設定を行います。Wi-Fiを使用する場合、接続先のSSIDを選び、パスワードを入力するステップもあります。
設備の接続と設定に関するサービスも提供されていますが、多くは有料となることが一般的ですので、利用する際には料金について確認しましょう。
プロバイダーを乗り換えるタイミング
もし現在のプロバイダーで仕事に支障が出ている場合は、できるだけ早くプロバイダーの乗り換えを検討すべきです。しかし、急ぎの必要がない場合で、より良い接続環境やコスト効率の高いプロバイダーへの切り替えを検討している場合は、乗り換えるタイミングを検討する余裕があります。
解約料がかからないタイミング
一般的に、プロバイダーを途中で解約すると、解約手数料が発生することがあります。ただし、スマートフォンなどと同じように、ちょうど契約の更新時期に解約すれば手数料を支払わなくても済むことがあります。乗り換えに伴う費用をできるだけ節約したい場合は、このタイミングでの乗り換えを検討しましょう。